3GIM(3G IoT Module) Ver2.x について
概要
3GIM(スリージム)は、様々なマイコンを使って、簡単にインターネット接続することができるSDカードサイズの超小型3G通信モジュールです。ArduinoやRaspberry Pi、mbed等の様々なマイコンで簡単に利用することができます。
Ver2では、コアとなる通信モジュールとしてシエラワイヤレス製のHL8548-Gを採用し、従来の 3GIM(V1) とほぼ互換性を保ちつつ、下記の新しい機能を追加しました。
- より高速な通信機能
- 通信速度は最高115200bpsまで設定可能
- バイナリデータを最大32KBまで一気に送信することが可能
- 消費電力を抑えるエアプレーンモード
- エアプレーンモードに入ることで消費電流を10mA以下に節減
- エアプレーンモード中でもSMSの待ち受けが可能
- 強化されたGPS機能
- GLONASSにも対応
- AGPS機能1)を利用可能
- NMEA形式の出力をそのまま取得することも可能
- 3GIM単体でプログラミング可能な32bitマイコン(Cortex-M0+)の搭載
- 32ビットARMマイコン(LPC812M101JTB16)を搭載、独自のファームウェアを開発することで
バッテリと3GIM+アンテナだけでIoTデバイスを実現可能(技術情報は後日公開予定2))
外観
3GIM(V2)の画像を掲載します。
なお、基板の色やレイアウト・寸法等は、今後変更となる場合がありますのでご注意ください。
全体
表面
裏面
提供する機能
3GIM(V2)は、従来とほぼ互換である下記機能を提供します:
3GIMのスペック
項目 | 仕様 | 補足 |
---|---|---|
外形寸法 | 幅25mm * 奥行35mm * 高さ7mm | 取付穴は2.6mm径(1ヶ所) |
電源電圧 | 3.3~4.2V | 安定した3.3~4VのDC電源または3.7Vリチウムポリマ電池を推奨(5Vの供給は不可) |
消費電流 | 10(sleep時)~900mA(peak時) | 利用状況や電波状態に依存 |
3G対応バンド | UMTS(Band1/6/19) | docomoのIOT取得済 |
GNSS | GPS/GLONASS | NMEA準拠。AGPS利用可能 |
マイコンとのインタフェース | UARTを介したコマンド・レスポンス方式 または USBモデム | 仕様書は別途公開 |
添付アンテナ | 同梱するフレキシブルアンテナ | シールとしてケース等に貼付可 |
ロジック電圧 | 任意のロジック電圧で利用可能(3GIMにIO電圧を供給) | |
UART | デフォルト設定は9600bps(最大115200bps)/8データビット/パリティなし/1ストップビット | ボーレートは変更可 |
USB 2.0 | ATコマンドを利用可能 | |
対応SIMカード | microSIM/miniSIM | 通常サイズのSIMカードは利用不可。利用実績のあるSIMカードはこちら |
添付品 | 3GIM本体1個、フレキアンテナ1個、8ピンヘッダ1個 | GPSをご利用される場合は、別売のGPS用フレキアンテナをご購入ください |
ピン配置
3GIMは下表に示す6つのピンでマイコンと接続します。
ピン番号 | 名称 | 機能など |
---|---|---|
1 | PWR_ON | 電源のON/OFF制御(開放または0でON、1でOFF) |
2 | RX | UARTインタフェース(RX) |
3 | TX | UARTインタフェース(TX) |
4 | IOREF | PWR_ON,RX,TXのロジック電圧 |
5 | VCC | 電源 |
6 | GND | グラウンド |
ブロック構成図
機能一覧(UART経由で利用する場合)
UARTコマンドインタフェースの概要
- 3GIMは、UART経由で外部(マイコン側)からコマンドを送受信することで利用できます。
- すべてのインタフェースは、マイコン側からのコマンド送信を契機とします。結果はレスポンスとして、3GIMからマイコン側へ送信されます。
- コマンドおよびレスポンスは、必ず改行コード('\n')で終端します。
- すべてのコマンドは、一つのシーケンス(送信と受信のやり取り)で完結します。ただし、
TCPでデータを直接書き込む時($TTコマンド)は上記の例外で、データを複数回に分けてマイコン側から3GIMへ送ることができます。所定のバイト数のデータを送り終わったときに、3GIM側からレスポンスがあります。
- 起動直後の出力について
3GIMに電源を供給してONにした後、約14秒後に下記の1行のメッセージが出力されます:
Welcome to 3GIM(V2)
このメッセージにより3GIMが利用可能になったことを検知することが可能ですが、
通常の処理では一定時間(約14秒間)を待つことで、この出力を無視すること(読み捨てること)もできます。
- 3GIM(V1)との差異について
- 起動に要する時間
- プロファイルの指定方法
- ストレージ機能の廃止
- 無通信時間が30秒以上経過したときの$WP/$WG/$TCコマンドの応答時間の増加(特に、$TCコマンドの実行ではタイムアウトすることがあるため、3回程度のリトライが必要)
- 最大コマンド長さ、最大レスポンス長さの違い(ほぼ同じであるが、厳密には数バイト異なる)
- コマンドの最初の文字'$'は、必ず先頭にある必要がある(’$’前の余分なスペース・改行はNG)
「トラブルシューティング」も併せてご参照ください。
機能一覧
下表に提供機能の一覧を示します。
分類 | 機能名 | 機能概要 | コマンド名 | 備考 |
---|---|---|---|---|
System | バージョンの取得 | 3GIMに搭載されているファームウェアのバージョン情報を取得する | $YV | |
電波受信強度(RSSI)の取得 | 現在の3Gの電波強度(単位はdBm)を取得する | $YR | ||
利用可能サービスの取得 | 現在のSIMカードで利用可能なサービス(無効/パケット通信可)を取得する | $YS | ||
IMEIの取得 | 端末固有の識別番号(IMEI:International Mobile Equipment Identity)を取得する | $YI | ||
LEDの状態の取得・設定 | LEDの現在の状態の取得あるいは設定する | $YL | LEDは基板上にLED1と表記された緑色のLED | |
UART通信速度の変更 | UARTの通信速度を(4800/9600/19200/38400/57600/115200bps)変更する | $YB | 実行後ただちに有効となる | |
3GIMのリセット | 3GIMをソフトリセットする | $YE | ||
現在の日時の取得 | 現在の年月日、時分秒を取得する | $YT | ||
エアプレーンモードの切り替え | エアプレーンモードの現在の状態の取得あるいは設定する | $YP | エアプレーンモードにすると消費電力を大きく節減可 | |
ATコマンドパススルーモード | ATコマンドパススルーモードに入り、ATコマンドを実行する | $YA | 指定された時間経過後に通常モードに戻ることができる | |
Web | GETリクエスト送信・レスポンス取得 | HTTP/HTTPSのGETメソッドを送信して、レスポンスを取得する | $WG | DNS使用可。ヘッダ、URL、レスポンスには最大長の制限有 |
POSTリクエスト送信・レスポンス取得 | HTTP/HTTPSのPOSTメソッドを送信して、レスポンスを取得する | $WP | 同上 | |
TCP/IP | TCP/IPコネクションの接続 | TCP/IPコネクションを接続する | $TC | DNS使用可。一度に一つのコネクションのみ |
TCP/IPコネクションの切断 | TCP/IPコネクションを切断する | $TD | ||
TCP/IPコネクションからのデータ読み出し | TCP/IPコネクションから指定された長さまでデータを読み出す | $TR | ノンブロッキング方式。バイナリデータも取扱可 1. | |
TCP/IPコネクションへのデータの書き込み | TCP/IPコネクションへデータを書き込む | $TW | ノンブロッキング方式。バイナリデータも取扱可 | |
TCP/IPコネクションへのデータの直接書き込み | TCP/IPコネクションへデータを直接書き込む | $TT | バイナリデータもそのままで取扱可。最大32000バイトまでを一気に書き込み可 | |
TCP/IPコネクションの状態の取得・設定 | TCP/IPコネクションの状態を取得する | $TS | ||
自ソケットのIPアドレス・ポート番号の取得 | 自ソケットのIPアドレスを取得する | $TN | ||
GPS | 位置情報の取得 | 現在の位置情報をGPSを使って取得する | $LG | GPS用アンテナの装着が必要 2. |
SMS | SMSの送信 | SMSを送信する | $SS | メッセージの文字コードはASCIIのみ 3. 5. |
SMSの読み出し | 受信したSMSを読み出す | $SR | ||
SMS受信有無の確認 | SMSを受信しているか否かを確認する、または溜まっているSMSをクリアする | $SC | ||
Profile | デフォルトプロファイルの取得・設定 | 使用するプロファイル(APN)を設定する | $PS | 4. |
補足
- 一部のデータではエスケープ処理($文字を使用)が必要となる。
- V2から、オプションの指定により緯度・経度以外に高度や捕捉衛星数等も指定回数分を取得できるようになった。また、NMEA形式の出力をそのまま取得することも可能である。AGPS機能を利用する方法はこちら
- SMSは送信メッセージの数に比例した従量課金制料金(上限値なし)のサービスが多いため、特に料金に留意が必要となる。
- V2からプロファイル情報を自由に設定できるようになった。ただしプロファイルは一つのみ記憶できる。
- SMS機能は3GIM(V2.1)から非搭載としている。
- 上記コマンドの詳細は、ダウンロードページにある「3GIM(V2/V2.1)のマニュアル」を参照ください。
利用上の留意点
- docomoのFOMA回線を利用します。そのため、docomoあるいはそのネットワークを利用するMVNOが提供するマイクロSIMが利用できます(ただし、これらの条件を満たす全てのSIMカードでの利用を保証する訳ではありません。利用実績のあるSIMカードは こちらのページ を参照ください)
- 3GIMは日本国内でのみ利用できます。海外では各国の法律により現状では利用できません。
- USBモデムとして利用する場合でも、5番ピンからの電源供給は必要となります。
3GIM、ファームウェア、Arduino用ライブラリの最新バージョンの関係について
最新のバージョンは下記の通りです:
3GIMハードウェア | ファームウェア(gw3g) | a3gimライブラリ |
---|---|---|
1.0 | 2.1 | R3.1(R4.0以降は使用できません) |
1.1 | 2.1 | R3.1(同上) |
2.0 | 3.1 | R4.1 |
2.1 | 3.1 | R4.2 |
※上記以外の組み合わせでは動作しないことがありますのでご注意ください。
電源について
3GIM(V2)を動作させるためには、最大900mA程度の電流を供給できる3.3~4.2Vの安定した電源が必要です。電圧が中途半端であるため、そのままで使える電源モジュールはあまり市販されていません。(Arduinoで利用される場合は、3GIM用の専用シールド「3GIMシールド(V2)」 を利用されるのも一つの方法です)
入手しやすい手ごろな電源モジュールとして、秋月電子通商から販売されている下記のモジュール「LXDC55使用DCDCコンバータキット(可変出力)」があります。
このモジュールはピンを半田付けする必要がありますが、最大1.5Aまでの電流を安定的に供給することができます。また、入力電圧の範囲が広く(4~14V)、DC-DCコンバータ方式ですので電力効率が高いため発熱が少ない特長があります。
通常、3GIM(V2)には3.7V前後の電圧の電源を供給します。LXDC55では、入力電圧は出力電圧よりも1V以上高いことが推奨されていますので、概ね5V以上の電圧を入力として供給することを推奨します。
トラブルシューティング
こちらのページ を参照ください。
消費電流について
3GIM(V2)の消費電流をいくつかの状態で測定しました。
ここ で公開しますので、参考値としてご利用ください。
ラズベリーパイで使用する方法
3GIM(V2)をラズパイで使用する にて、3GIM(V2)をラズパイで使用する方法を掲載しました。ラスベリーパイで3GIM(V2)を使用されたい方は、参考までに参照ください。
ダウンロード
ライブラリや技術資料のダウンロードは こちら からお願いします。
事例
技術情報
3GIMに搭載されている32bitマイコン(NXP社のLXP812)上でファームウェアを開発する方法、ファームウェアを3GIMに書き込む方法等については、こちらを参照ください。